とりあえず

 星野智幸先生の授業での『ころころ』の合評結果を知りたがっている人がいたので一応。

○まず一人目

  • 書き出しがいい。
  • この授業で何度も扱われた目に見えないものの具象化・擬人化を使っているので一見ファンタジーのようだが、特に違和感がない
  • ただ、授業でよく言われる通念的なものが多い。
  • 店長が唐突に登場してくるが、キャラクターが良いので違和感がない。
  • 映画のような純愛。

→それに対する先生の反応
・書き出しはいい。はじめ、愛情を踏むとは粗末にすることで、転ぶとはしっぺ返しの意味かと思い、ブラックユーモアを期待していた。
・目に見えないものの具象化は確かに話を作りやすい。
・青を「悲しい色」としているのは思いつかなかった。青色発光ダイオードかと・・・。

○そして二人目

  • 純愛、かわいい。
  • 一行空き(本来は二行空き)多すぎないか。
  • 生前と死後の愛情の量に差があり過ぎないか。
  • てか、これが事実ならそこらじゅう愛情でいっぱいになっているだろう。

→その後の先生の反応
・本の間にもある、等の表現により、実際に愛情があるという感触が出ている。だが、少なくないだろうか。もっと過剰に感触を出しても良いのではないか。
・(愛情の量の話から)冒頭では瓶の三本目の半分、後半では瓶の三本目の八部目、と量が増えたのはただ単に時間の経過か。時間軸の始まりが曖昧。実際、どこに軸の始まりを持ってくるかは難しいが。

○次は男性の意見

  • 書き出しの「踏んで転」ぶは、なにかの具象化か比喩かと思いきや。
  • 六本指をいいものとして扱っているが、愛情というきれいなもののとの対比としてみると、実際はかなりギャップがあるのではないか。
  • 女が死ぬのはすぐにわかるが、そこまでの表現はいい。
  • 六本指を使っての相手への感情の表し方がいい。

→指の話が出たので先生は
・異形による一般とのかけ離れは物語に起伏を与えやすい。だが、それを使うのはかなり危ない。
・元々一般的でないとされていた六本指を、語り手が欲しがることにより、六本が標準になるという反転が行われる。その後、更に五本指は別に欠落ではないと覆されることにより、異形による起伏が消され、無効になる。

○以前お話した非常に書くのが上手いお姉さんの意見

  • 抽象単語(今回の場合は「愛情」や「幸せ」)は本来、小説ではいかに直接言わずに表現するかがポイントである。しかし、それをストレートに連呼するのもまた良い。

→この人に褒められて結構舞い上がった里村を軽く流して先生は
・確かにそれは基本。この作品ではそれを前面に出しているのが特徴。本来、言葉は反復すればするほど意味を欠く側面があるが、言葉の反復をしつつ感触を別に書いている(メモが汚いため、自分でも意味がわかりません、これ)

で、総括。
「店長」による説明 について
 役割としてのキャラクターである。もしこの人物が全てを説明してしまえば、別に今まで解明されていないという設定にすることはない。更に、登場が余りにも唐突過ぎる。

 そんな感じで。